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将門伝説【5】



桔梗の前


 将門は生涯のよき伴侶(はんりょ)、君の前を広河の江(石下町飯沼)の戦いで殺害され、悲嘆にくれていました。

 それを知ってか、将門に近づく一人の女性がありました。その人の名は「桔梗(ききょう)の前」といい、下野国(しもつけのくに)(とちぎけん)の豪族藤原秀郷の妾(おんな)(一説に娘とも)でしたが、彼の命を受け将門にかしずいたといいます。
 そして、そのことが後の将門の運命を左右し、悲劇の底に突き落とされることになります。

 当時、秀郷は内乱の鎮定や暴徒、盗賊の逮捕を任務とする押領使(おうりょうし)という官位を得ていましたが、彼自身下野国内で罪を犯し、一族が配罪になったことがある人物でした。
 常陸、下総に台頭してきた若き将門の勢力が強まるにつれ、自分の身が危うくなるのではないかと考え、何としても将門を滅ぼそうと計略を練っていたのでした。

 しかし、その頃の将門は関八州を押さえ、手の下しようのない勢力となっていました。そんな折、将門を父の仇敵と狙う平貞盛からの誘いと、朝廷からの討伐命令が出たことにより、時節到来とばかり、将門打倒の旗を揚げたのです。

 秀郷は、老獪(ろうかい)な武将でしたから、それまで良兼、貞盛らが将門と戦っても勝てなかった理由を懸命に探っていました。
 何か隠されたものがあるのではと考え、愛妾“桔梗の前”を将門にはべらせ、動静を見守っていたのです。

 将門は、君の前を失った寂しさも手伝ってか、「桔梗の前」の色香に迷い、身も心も許してしまいました。そのため将門の秘密はすべて藤原秀郷に知られることになりました。

 「将門には7人の影武者がおり、戦いのたび南に北に、疾風(はやて)のように駆け、東に現れたかと思うと、西の戦さ場で指揮をとるという早業です。」確かに将門の騎馬団の速さといったら、東国一でした。
 そのうえ、影武者を使って敵を攪乱(かくらん)する戦術、味方の軍勢がへとへととなったところへ、一気呵成(いっきかせい)に新手の軍勢が投入されますから、相手はひとたまりもなく、命からがら逃げるのが精一杯でした。

 桔梗の前は語り続けました。
 「将門を討つことは難しいことです。それは君の前の実家、平真樹の軍兵の強いことと、ここに住んでいる民は、将門のことを神仏のように崇(あが)め奉(たてまつ)っているからです。そのうえ、大国玉神社の東にある宝塚というところは、将門の財宝である金、銀、珊瑚、綾綿が数えきれないほど隠されております。それが将門の軍兵の糧、褒美となっているからです。」
 更に、「将門を破るためには、どうしてもここの財宝を手に入れることです。そのありかもお教えいたします。」と、次から次へと将門の秘密を語りました。

 秀郷はほくそ笑むとともに、「なあ桔梗、わしはどうしても将門を討たねばならないのだ。討たねば我が身が滅ぼされる。なんとしても7人の影武者の中で、本物の将門だということを見破ることができるのか、それを探り出したのであろうなあ。お前を信じて将門のもとに遣わしたのじゃ。」と、秀郷の顔には異常な殺気が漲(みなぎ)っていました。



文:舘野義久(大和村教育委員)

取材協力
浜田祐造さん(NHKディレクター)
プリンタ出力用画面


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